山梨大学医学部内科学講座神経内科学教室

第28回山梨医学フォーラム開催のご案内


日 時:令和7年6月16日(月)18:00~19:00
場 所:山梨大学医学部臨床大講堂
特別講演 「グローバルな視点から考える、日本の創薬戦略における最適解」

演 者:東邦大学医学部内科学講座神経内科学分野 
    教 授 狩野 修先生

座 長:山梨大学医学部神経内科学教室
    教 授 上野 祐司先生

※どなたでも聴講可能でございます。ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

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講演抄録

近年、日本では新薬開発の遅れにより「ドラッグ・ロス」が社会問題として取り上げられるようになっており、筋委縮性側索硬化症(ALS)もその例外ではありません。2023年には総理大臣官邸において創薬エコシステムサミットが開催され、岸田総理からは創薬力の再興や薬事規制緩和に向けた具体的な数値目標が提示されました。

ALS領域においては、世界中で約50種類の治療薬が開発中であり、そのうち半数以上が第1相試験以降の治験段階に進んでいます。しかしながら、限られた患者数に対して治験数が上回る状況となっており、効率的な治験体制の構築が大きな課題となっています。

東邦大学では2017年にALSクリニックを開設し、2020年にはアジアで初めて北米のNEALS(Northeast ALS Consortium)に加盟するなど、グローバル治験への参加体制を整備してきました。さらに2023年には、AMEDにより「ALS治療薬の臨床評価ガイドライン作成に関する研究」(研究代表:徳島大学 和泉唯信教授)が採択され、国際連携を視野に入れたガイドラインの策定も進行中です。

また、近年注目されているPPI(Patient and Public Involvement)の観点から、同大学ではALS Caféの活動を通じて、患者や家族と医療者が協働する仕組みを構築してきました。2020年以降は、研究へのフィードバックを反映する取り組みにも発展し、今後はリサーチ・アドボケートの育成に向けた教育・研修にも力を入れていく予定です。

国内外との連携と市民参画の深化により、ALS治療薬の開発がさらに加速することが期待されます。